#06 距離 「わたしは平気なので……! 帰ってください」 「なにいってんだ。こんな時間に一人にするわけにいかねーだろ」 「でも」 巻き込んでしまった。 カギが見つからなければ、親が夜勤を終え帰ってくるまで家に入れない。 頼れる親戚も友達もいない。 つまり、このままでは朝まで野宿することになる。 「こんなこともあろうかと。モバイルバッテリーとケーブルは持ち歩いてますので!」 スマホのバッテリーがなくなる以上に辛いことってそうない。 「戻るか」