「からあげさんレッド」 「かしこまりました」 彼と話すのは、苦じゃない。 「……辛いの。好きなんですか」 「ああ」 わくわくする。 彼は口数が多くはないから つい、こっちから声をかけてしまう。 会話を続けるために。 わたしらしくない。 たぶん、心が折れていた。 一人だと。 彼が毎日のように現れてくれるおかげで、出勤するのが楽しいとすら感じる。 へんだよね。 まだ、名前も聞いていないのに。