「帰ったらいいものがあるんだっけ? なにかな」
見上げると、わくわくとした表情の史彰。
「当ててみて」
「うーん、ケーキを焼いたとか?」
「なんでわかったの? 夕子ってすごいな」
素直に驚いた顔をして、史彰が抱擁を解いた。荷物を持ち、開いた手で私の手を取った。
「大きなイベントだし、ねぎらいたくてさ。頑張ったよ」
「キッチンめちゃくちゃにしてない?」
「大丈夫! ハンドミキサーが見つからなかったから、手で生クリームを泡立てたんだけど、どうも上手にぬれなかったのが失敗かな」
「泡立てすぎよ」
帰宅して見た史彰作のケーキはスポンジが斜めに傾いて膨らんでいたし、生クリームは固く泡立てすぎてごわごわだった。
だけど、プレートに描かれた【ゆうこ、がんばったで賞】の文字に私は泣き笑いしてしまったのだった。
赤ちゃんが生まれたら、また作ってもらおう。赤ちゃんの毎年の誕生日にも作ってもらおう。
こんな素敵なケーキ、一生忘れられない。そう思った。
見上げると、わくわくとした表情の史彰。
「当ててみて」
「うーん、ケーキを焼いたとか?」
「なんでわかったの? 夕子ってすごいな」
素直に驚いた顔をして、史彰が抱擁を解いた。荷物を持ち、開いた手で私の手を取った。
「大きなイベントだし、ねぎらいたくてさ。頑張ったよ」
「キッチンめちゃくちゃにしてない?」
「大丈夫! ハンドミキサーが見つからなかったから、手で生クリームを泡立てたんだけど、どうも上手にぬれなかったのが失敗かな」
「泡立てすぎよ」
帰宅して見た史彰作のケーキはスポンジが斜めに傾いて膨らんでいたし、生クリームは固く泡立てすぎてごわごわだった。
だけど、プレートに描かれた【ゆうこ、がんばったで賞】の文字に私は泣き笑いしてしまったのだった。
赤ちゃんが生まれたら、また作ってもらおう。赤ちゃんの毎年の誕生日にも作ってもらおう。
こんな素敵なケーキ、一生忘れられない。そう思った。



