イベントは無事に終了。途中の試食パートのアクシデントには、イベント会社側から謝罪されたけれど、生配信ゆえ防ぎようのないトラブルだった。
挨拶をし、撤収作業を終え、私と若菜は会場ホールを出た。
「夕子」
もうすっかり人気のなくなったホール前の自動販売機のところに史彰が立っていた。
「迎えにきてくれたの?」
「ああ、公開告白されちゃったから、いてもたってもいられなくて」
若菜が笑って、「先に帰るわよ」と手を振って歩いていく。
私は史彰とあらためて向かい合った。
「ごめんね、勝手にいろいろしゃべっちゃって」
「いいよ、事実だし。世間は俺たちがものすごく愛し合っているってところまで情報が追いついてなかっただろ。今日、宣言できてよかったよな」
「近いうちに、妊娠報告もしないと」
史彰が腕を伸ばして、私の身体をいたわるように引き寄せた。
夕方だけど、夏なのでまだ日が高い。あまり人目はないかもしれないけれど、恥ずかしいので困ってしまう。
「史彰、こらこら」
「少しだけ、こうさせてくれよ」
私は史彰の胸に顔を埋め、深呼吸した。安心する夫の匂いだった。
あのコメントをされたとき、実はすごく緊張したし、どうしようって思った。だけど、史彰の顔が浮かんだら、力が湧いてきたのだ。
この愛おしい気持ちは、言葉でも態度でも表しきれないほどだ。
挨拶をし、撤収作業を終え、私と若菜は会場ホールを出た。
「夕子」
もうすっかり人気のなくなったホール前の自動販売機のところに史彰が立っていた。
「迎えにきてくれたの?」
「ああ、公開告白されちゃったから、いてもたってもいられなくて」
若菜が笑って、「先に帰るわよ」と手を振って歩いていく。
私は史彰とあらためて向かい合った。
「ごめんね、勝手にいろいろしゃべっちゃって」
「いいよ、事実だし。世間は俺たちがものすごく愛し合っているってところまで情報が追いついてなかっただろ。今日、宣言できてよかったよな」
「近いうちに、妊娠報告もしないと」
史彰が腕を伸ばして、私の身体をいたわるように引き寄せた。
夕方だけど、夏なのでまだ日が高い。あまり人目はないかもしれないけれど、恥ずかしいので困ってしまう。
「史彰、こらこら」
「少しだけ、こうさせてくれよ」
私は史彰の胸に顔を埋め、深呼吸した。安心する夫の匂いだった。
あのコメントをされたとき、実はすごく緊張したし、どうしようって思った。だけど、史彰の顔が浮かんだら、力が湧いてきたのだ。
この愛おしい気持ちは、言葉でも態度でも表しきれないほどだ。



