事件から二日後、マンションの防犯カメラの映像が決めてとなり、都内の二十代女性が逮捕された。
私への暴行、傷害が刑法上の罪状で、特別法であるストーカー規制法にも抵触しているため、証拠として残しておいたものを警察に渡すことにした。
私よりふたつ年下の、一般企業に勤める女性だった。本当にどこにでもいる普通の会社員だそうだ。

加害女性の両親と弁護士から史彰へ示談の話が持ちかけられたけれど、史彰はこれを断った。加害女性が反省しているかはわからない以上、安易に無罪放免にするわけにはいかない。
直接彼女と話した私から見ても、思い込みが強く、終始「してあげている」という上から目線の人だった。自身の罪と向き合う時間を設けてもらわないと、私以外の誰かに粘着する未来がないとはいえないのだ。

加害女性はおそらく罰金刑になるだろうとのこと。私への接近禁止命令は出るそうだ。
万が一、ストーカー行為を繰り返すようなら再逮捕。さらには、史彰が民事で損害賠償の訴えを起こすと言っている。
どうかそこまでの事態にはならないでほしいと、今は祈ることしかできないけれど。

私と史彰はセキュリティ強化と赤ちゃんを迎えるために、それからほどなく引っ越し、一応この事件は決着となった。
大変なできごとだったけれど、史彰は終始頼もしく、妊娠中の私を安心させてくれたのだった。