私の妊娠は若菜にだけ伝えることにした。マネージャーであり、ともに妊婦仲間になる若菜には知っておいてほしかった。
若菜は妊娠後期にさしかかる時期で、お腹もだいぶ大きくなってきた。

「同じ学年になるなんて嬉しいわね」

仕事の打ち合わせを終え、私たちはカフェに寄っていた。オーガニックハーブティーのお店だ。購入もできるし、店内で飲むこともできる。
若菜は妊娠中でも飲めるハーブティーを私の分もさくさくと注文してくれた。

「若菜の産休と育休も挟まるし、私も出産となると、しばらく動画はお休みかな」
「あまり更新が空くのは避けたいわね。可能な範囲で撮り溜めしておきましょう。私も動けるようになったら、休日は旦那に赤ちゃんを頼んで撮影を手伝いに来るから」
「頼りになるのは嬉しいけど、無理しないで~」

八月後半に出産予定の若菜は、五月の現時点ですでにかなりお腹が大きい。腰痛も出ているそうで、ギリギリまで働かせたくはないのだ。

とはいえ、私もつわりが少々あり、現時点で調理や撮影が苦しい。つわりが収まるまでは撮り溜めた動画でつないでいる状況だ。

「史彰も休日は手伝ってくれるし、若菜には出産と育児に専念してほしいよ」
「まあ、産むのは私がやるしかないし、産んでからしばらくはしっかり休むわよ。でも、今日打ち合わせした件は、絶対に同行するわよ。私の出産前ラストの仕事になるかしら」