「動画のコメントやSNSのリプライには不審なものが届くし、私の方で保存して証拠にはしてる。相手は住所を知っているから、ちょっと不安でね」
「私は若菜を巻き込まないかの方が心配だよ。史彰もいてくれるし、何かあったら彼も動いてくれるから、大丈夫」

もし若菜とその手紙を送ってきた人物が鉢合わせしてしまったらと考える方が怖い。
若菜はひとりの身体ではないのだ。

「確かに八田さんは頼りになるよね。弁護士としてもだけど、フィジカルも強そう」
「アメフト経験者だからね。着痩せするだけで、身体は結構マッチョだし」

私の言葉に若菜が「お」という顔になる。

「身体を見る機会が?」

私は慌てて首を左右にぶんぶん振った。

「変な意味じゃないから! 一緒に暮らしていれば、たまに見るわよ。上半身裸でうろうろしているところとか!」
「ふうん」

焦る私が面白いようで、若菜はにやにやしている。
ああ、なんか余計な話をしてしまった気分。

「ともかく、若菜はお腹の赤ちゃん第一に行動して。頼りたいところはきっちり頼るから」
「はいはい。午後はひとりで撮影できるのね」
「ショート動画にするから大丈夫! ゆっくり休んで」

照れ隠しについ声が大きくなる。若菜に誤解されていないといいのだけれど。