私に恋人としての役割を求めていないせいか、史彰は私のすることにも言動にも寛容だ。私が動画のイメージ通りのクール&スタイリッシュな女性でなくてもいいのだろう。
「八田さんに素を見られて、受け入れられて、嬉しいんだね」
「ん~、嬉しいといえば嬉しいかもね。動画のイメージじゃなく、素の私でいられる」
そこまで言って、なんだか私自身随分史彰に傾倒しているなと感じてしまった。のろけているつもりはないのに、のろけみたいに響いていないだろうか。
「すべては私のイメージ戦略のための結婚だけど、今のところうまくいってると思う。この調子で動画の再生数を稼いで、雑誌やテレビの仕事もバンバン受けて……」
「夕子が上り調子なのは本当に嬉しいよ。……こんなときに話すことじゃないのかもしれないけどさ」
若菜がふうとため息をついて、私はぎくっとしてしまった。そういえば、今日は朝からなんとなく元気がなかった。何かあったのだろうか。妊活中だとは聞いているけれど、詳細を聞いていないからどう気遣っていいかわからない。
「妊娠したわ」
若菜は私に視線を戻して、さらりと告げた。私は一度はたと止まり、それから歓声をあげていた。
「おめでと~! よかったね! わあ、私も嬉しい~!」
私の反応が予想外だったようで若菜は拍子抜けしたような顔をする。
「いいの? 出産や育児で、夕子の仕事を手伝えなくなるよ」
「前から妊活中だって聞いてたもん。そんなの覚悟の上だよ。もともと私ひとりでやってたし。そんなことより、本当におめでとう。旦那さん、喜んでるでしょう」
「八田さんに素を見られて、受け入れられて、嬉しいんだね」
「ん~、嬉しいといえば嬉しいかもね。動画のイメージじゃなく、素の私でいられる」
そこまで言って、なんだか私自身随分史彰に傾倒しているなと感じてしまった。のろけているつもりはないのに、のろけみたいに響いていないだろうか。
「すべては私のイメージ戦略のための結婚だけど、今のところうまくいってると思う。この調子で動画の再生数を稼いで、雑誌やテレビの仕事もバンバン受けて……」
「夕子が上り調子なのは本当に嬉しいよ。……こんなときに話すことじゃないのかもしれないけどさ」
若菜がふうとため息をついて、私はぎくっとしてしまった。そういえば、今日は朝からなんとなく元気がなかった。何かあったのだろうか。妊活中だとは聞いているけれど、詳細を聞いていないからどう気遣っていいかわからない。
「妊娠したわ」
若菜は私に視線を戻して、さらりと告げた。私は一度はたと止まり、それから歓声をあげていた。
「おめでと~! よかったね! わあ、私も嬉しい~!」
私の反応が予想外だったようで若菜は拍子抜けしたような顔をする。
「いいの? 出産や育児で、夕子の仕事を手伝えなくなるよ」
「前から妊活中だって聞いてたもん。そんなの覚悟の上だよ。もともと私ひとりでやってたし。そんなことより、本当におめでとう。旦那さん、喜んでるでしょう」



