史彰とは一週間たった今もぎくしゃくしたままだ。
彼は自分の過失で私を怒らせたと思っているし、私は苛立ちよりも彼にキツい言い方をした事実を後悔していた。結局保身なのだと自己中心的な自分が嫌になる。
「あの局アナね、狙ってやったとこあると思うよ」
その日、自宅での動画撮りを終え、お茶をしているときに若菜が言った。私は身を乗り出す。
「後藤花梨チャンだっけ? 狙ったってどういうこと?」
「前から、八田さんを男性として狙ってたみたい。調べたら前からSNSで匂わせっぽいことしてんだわ」
そう言って若菜はスマホの画面を見せてくる。彼女の写真中心のSNSには史彰と写った1枚がある。日付は半年ほど前で、私と史彰が出会うより早い時期だ。
「『八田弁護士と打ち合わせです。美味しいお菓子をもらっちゃいました』だって。写真はこれだけだけど、他にもしょっちゅう八田さんの名前が出てくるから、某掲示板では八田さんがこのアナウンサーと夕子の二股をかけて、アナを捨てて夕子と結婚したって噂されてる」
「とんでもない邪推!」
「そんなもんでしょ、ネットなんて。正しいことも嘘もたくさん。夕子だって、それに乗っかって仕事を広げてるんだから、一概に否定できないわよ」
まあ、その通りだ。攻撃や脅迫されているわけでなければ、好き勝手邪推するのも、それを噂するのも自由なのだ。
そして、そんな流れに乗せてイメージアップしようと私と史彰は結婚したのだもの。
彼は自分の過失で私を怒らせたと思っているし、私は苛立ちよりも彼にキツい言い方をした事実を後悔していた。結局保身なのだと自己中心的な自分が嫌になる。
「あの局アナね、狙ってやったとこあると思うよ」
その日、自宅での動画撮りを終え、お茶をしているときに若菜が言った。私は身を乗り出す。
「後藤花梨チャンだっけ? 狙ったってどういうこと?」
「前から、八田さんを男性として狙ってたみたい。調べたら前からSNSで匂わせっぽいことしてんだわ」
そう言って若菜はスマホの画面を見せてくる。彼女の写真中心のSNSには史彰と写った1枚がある。日付は半年ほど前で、私と史彰が出会うより早い時期だ。
「『八田弁護士と打ち合わせです。美味しいお菓子をもらっちゃいました』だって。写真はこれだけだけど、他にもしょっちゅう八田さんの名前が出てくるから、某掲示板では八田さんがこのアナウンサーと夕子の二股をかけて、アナを捨てて夕子と結婚したって噂されてる」
「とんでもない邪推!」
「そんなもんでしょ、ネットなんて。正しいことも嘘もたくさん。夕子だって、それに乗っかって仕事を広げてるんだから、一概に否定できないわよ」
まあ、その通りだ。攻撃や脅迫されているわけでなければ、好き勝手邪推するのも、それを噂するのも自由なのだ。
そして、そんな流れに乗せてイメージアップしようと私と史彰は結婚したのだもの。



