「引いた?」

「ぜんぜん。むしろ君が垢玉を作ったなんて、好感がもてるほどだよ」

「なにそれ」

 と彼女は笑った。それから僕は、彼女に垢玉を作った日の感想とその感触を聞いてみることにした。僕が作るときの参考にしたかったのだ。



「そうねぇ、私は新宿でやってもらったの。垢玉を作ろうと思ったきっかけは、単純に面白そうだなぁって。それにペンダントを外していれば、私が垢玉を作ったことなんで誰も気が付かないしね。歌舞伎町はオシャレな場所だったよ。治安が悪いかも、なんて思っていたけど、実際は全然そんなことはなかったな。垢玉を作りたいって言ったらお兄さんたちみんな優しくしてくれたよ」



「へぇー、なるほどねぇ。確かにペンダントを外していれば、誰が垢玉を作ったなんて分からないもんね」



 僕は藍ちゃんの話を聞いて感心した。垢玉を作ったのに、垢玉を入れたそのペンダントを首から下げないのはナンセンスだ。というイメージが確かにあったが、実際は彼女のように、作った経験はあるものの首から下げていない。オシャレをする時だけペンダントを下げる。という人々も一定数はいるようだ。