焦らしてなどいない、思わせ振りというつもりも全くない。

それは紛れもなく本音で、きっとイタミンにも伝わっているとは思う。

二人きりで無邪気にはしゃいだ夏が過ぎ、何故か心が脆くなる晩夏からは、散々イタミンに甘えてきた。

11月に入る頃には、多くの街はイルミネーションで華やぐ。

「地元では、こんなイルミネーションってなかったなぁ…」

イタミンが呟き、私も同意する。

「風情のある町だから、イルミネーションなんかやっちゃうと、却って趣がなくなるんじゃない?」

そう言うと、納得するイタミン。

ある日、

「クリスマス、もしよかったら一緒に居られる?」

そう尋ねられ、私は頷いた。