久々に帰ってきた地元は、何ら代わり映えしなかった。

もし、イタミンが途中まで一緒でなければ、面倒で戻ってこなかったかもしれない。


そして、今日はイタミンが迎えに来てくれて、一緒に郡上八幡へ行く。

「へぇ、大学の友達が郡上八幡の子だったなんて奇遇ね」

母はそう言うけれど、その“友達”が男の子だったら、少し心配される気がして、敢えて性別は言っていない。

私は、日焼け予防の為、いま着ている服も、着替えも長袖長ズボンだ。

そろそろ来るかな…?と、玄関先で待っていると、大きく【水道110番】と書かれた車が目の前で停まった。

「エルちゃん、お待たせ!」

降りてきたイタミンの笑顔が目映い。

「どうしたの?その車」

「あ、カッコ悪いよね…ごめん。兄ちゃんの車を借りようにも、運悪くエアコン壊れてたから、実家の社用車借りたんだ。嫌だったかな?」

「ううん、私は特に車に拘りはないから、全く気にしてないよ」

「やっぱりエルちゃん、優しいなぁ。じゃあ、行こうか」

優しい訳ではなく、本当に車には興味がなく、ちゃんと動けばそれでいいと思っているだけなのだが…。