そして、日曜日。

今日の主役はあくまで美保さんなのだから、私はまるで喪服のような全身黒い服装で出掛けた。

「先に見つからないように、離れたところから見て…。もしヤバそうな人だったら、すぐに逃げようね」

美保さんは不安そうに言うけれど、こんなに人で溢れている真昼だから、そこまで心配しなくてもいいような気もする。

「ねぇ、あの人たちじゃない?」

美保さんが指差すのは、20代前半ぐらいの2人組。

事前に聞いていた相手の男のプロフィールも、美保さんよりひとつ上の大学院生とのこと。

女の子やカップルばかりのカフェに、男二人はなかなか珍しいから、多分そうなのだろう。

「どうするの?」

私が尋ねると、美保さんは迷っているようだった。

「エルちゃんには、あの人たち、ヤバそうに見える?」