大学の図書館は、綺麗なだけでなく蔵書も充実している。

それはこの大学の強みだろう。

少なくとも、ここでバカ騒ぎする人は居ないから、キャンパス内で最も安心できる場所だ。

レポートに使えそうな本を何冊か選び、空いている席に座る。

ふと、強い視線を感じて顔を上げると、見たことはある人だが、学部も学年も、もちろん名前も全く知らない男子生徒と目が合った。

彼は、サッと目を反らしたので、私も気にせずレポートに取り掛かった。