3つの目覚ましが喧しく、甘い夢から現実に引き戻そうとする。

もっと夢を見ていたかったけれど、ふと今日はデートだということを思い出した途端、覚醒した。

まさか寝坊していないかと時計を見遣ると、まだ大丈夫で安堵する。

どのみち通り道だからと、伊丹くんが迎えに来てくれるという。

初デートだから尚更、遅れるわけにはいかない。

しかし、昨夜あまりに突然決まったデートなので、何を着るかも考えていなかった。

太っているだけに、少しでも見苦しくならないように気は遣っているつもりだが、お洒落かどうかとなると、あまり自信はない。

テレビでは、うお座の今日のラッキーカラーはブルーだと言っているので、普段はそういうものはスルーしているくせに、気に入っているブルーのワンピースを着ていこう…と決めた。

ひととおり支度が終わり、姿見の前で何度も全身チェックしていたら、インターホンが鳴る。

「すぐ行くね!」

いそいそとエントランスへ向かうと、伊丹くんは照れたような笑顔を見せてくれた。