キャンパスに居ても、近所を歩いていても、ついキョロキョロしてしまう。

サン・ジョルディの日の告白から3日経ったが、あれ以来まだ一度も伊丹くんと出くわしたことがない。

「今度は何?妙にソワソワしちゃって」

美保さんに突っ込まれ、焦ってしまう。

「そ、そんなことないよぉ!?」

「声ひっくり返ってるし。ホント、何かいいことでもあった?」

「あったと思ってたけど、もしかしたら夢でも見てたのかも…」

「なぁに、それ」

美保さんは苦笑いしているが、自分の言葉で我に返る。

何の連絡もないし、やっぱり夢でも見ていたのでは…?

私に一目惚れする人がいること自体、やっぱりおかしいし、ましてやその相手が、遊び男ではない、素朴で純粋な隠れイケメンなんて、まるで私の願望みたい。