推し活!

二人は「わぁー」と口をそろえて盛り上がる。


レトロな花柄のグラスに入れられた鮮やかな液体と、真っ白なバニラアイスのコントラストが綺麗だ。


慈雨はさっとスマホを取り出した。


そのスマホのケースも真広のメンバーカラーである赤。


真広のファンになってから、慈雨の周りは赤いものであふれている。


コンサートグッズに限らず、赤いものを見つけるとつい買ってしまうのだ。


おかげで地味な性格の慈雨だか、見た目だけは明るくなった気がする。


「グラスの位置、ここでいい?」と萌香が青色なスマホを取り出す。


いつものことだが、食べ物に口をつける前に写真撮影がスタートする。


AOのツーショットにしてみたり、ワンショットにしてみたり、自分達も写ってみたり、グラスの位置を変えてみたり……


慈雨のスマホの写真フォルダは真広との思い出でいっぱいだ。


「あぁ、もう!アイス溶けちゃう!」


萌香が素っ頓狂な声を上げた。


「食べよ食べよ」


慈雨は急いでスプーンを手にとった。


溶けかけたアイスを口いっぱいに頬張ると、慈雨の心は一気に満たされた。


甘さ控えめのバニラアイス。


香ばしさが口内に広がる。


赤いソーダはイチゴ味だ。