慈雨は7組、萌香は3組だった。
慈雨は重い足取りで新しいクラスへと向かう。
友達になれそうな人がいるといいんだけど……
内気な慈雨にとって、クラス替えはかなりの試練だ。
教室の後方の入口からそっと中に足を踏み入れた。
1年生の時に同じクラスだった子の顔もチラホラあるが、あまり話したことがない人ばかりだ。
萌香みたいな派手な風貌をした子もいれば、メガネをかけた真面目そうな子もいる。
慈雨はこっそりと観察しつつ、極力気配を消して、窓際の自分の席へ着席した。
とりあえず新学期に提出する書類とペンケースを机の上に出す。
その時だった。
「あれ?もしかしてAOのファン?」
突然声を掛けられた。
派手な風貌の子だなぁと思って見ていた子が、慈雨の前に立っていた。
しまった、と慈雨は思い、とっさにペンケースを両手で隠して顔を伏せた。
プラスチックのペンケースのフタにAOのステッカーを貼っていた。
といっても、本人の写真は入っていない文字だけのステッカー。
しかも『AO』の文字はなく、昨年のコンサートのタイトルが書いてあるだけ。
ぱっと見ではAOのファンだとバレないと思っていたのに……
「ねっ?そうでしょ?昨年のコンサート会場限定で売ってたステッカーだよね?ねぇ、そうでしょ?」
慈雨が警戒していることに気付かないのか、派手な子はしつこく話しかけてくる。
会場限定って知ってるってことは、この子もファン??
慈雨は恐る恐る顔を上げた。
慈雨は重い足取りで新しいクラスへと向かう。
友達になれそうな人がいるといいんだけど……
内気な慈雨にとって、クラス替えはかなりの試練だ。
教室の後方の入口からそっと中に足を踏み入れた。
1年生の時に同じクラスだった子の顔もチラホラあるが、あまり話したことがない人ばかりだ。
萌香みたいな派手な風貌をした子もいれば、メガネをかけた真面目そうな子もいる。
慈雨はこっそりと観察しつつ、極力気配を消して、窓際の自分の席へ着席した。
とりあえず新学期に提出する書類とペンケースを机の上に出す。
その時だった。
「あれ?もしかしてAOのファン?」
突然声を掛けられた。
派手な風貌の子だなぁと思って見ていた子が、慈雨の前に立っていた。
しまった、と慈雨は思い、とっさにペンケースを両手で隠して顔を伏せた。
プラスチックのペンケースのフタにAOのステッカーを貼っていた。
といっても、本人の写真は入っていない文字だけのステッカー。
しかも『AO』の文字はなく、昨年のコンサートのタイトルが書いてあるだけ。
ぱっと見ではAOのファンだとバレないと思っていたのに……
「ねっ?そうでしょ?昨年のコンサート会場限定で売ってたステッカーだよね?ねぇ、そうでしょ?」
慈雨が警戒していることに気付かないのか、派手な子はしつこく話しかけてくる。
会場限定って知ってるってことは、この子もファン??
慈雨は恐る恐る顔を上げた。