――羽交い絞めにされた僕の心臓を狙って、銃剣の切っ先が迫る。
スローモーションを見ているようだった。
突進してくる敵兵の残忍な笑み、
返り血を浴びた軍服、
シモノフSKSカービンの先端で鈍い光を放つ凶刃。
すべてが鮮明に僕の網膜で像を結んだ。
逃れようのない危局。
もはや死を覚悟するしかなかった。
僕は恐怖におののき、固く目を閉じた。
――銃声が鳴る。
初めに一発、続けざまに二発。
目を開けると、僕に襲いかかってきた敵兵が倒れていた。
腐葉土に顔をうずめ、こめかみのあたりから血を流している。
僕を羽交い絞めにしている屈強な兵士が耳元でぼそりと呟いた。
『Fuck』と言ったに違いなかった。
二時の方向で人の気配がした。
背丈ほどもあるシダの葉を掻き分けて、小銃をかまえた男が一人現れた。
ひょろ長い体型をしたその男は、僕と同じ格好――捕虜に支給された作業服を着ていた。
スローモーションを見ているようだった。
突進してくる敵兵の残忍な笑み、
返り血を浴びた軍服、
シモノフSKSカービンの先端で鈍い光を放つ凶刃。
すべてが鮮明に僕の網膜で像を結んだ。
逃れようのない危局。
もはや死を覚悟するしかなかった。
僕は恐怖におののき、固く目を閉じた。
――銃声が鳴る。
初めに一発、続けざまに二発。
目を開けると、僕に襲いかかってきた敵兵が倒れていた。
腐葉土に顔をうずめ、こめかみのあたりから血を流している。
僕を羽交い絞めにしている屈強な兵士が耳元でぼそりと呟いた。
『Fuck』と言ったに違いなかった。
二時の方向で人の気配がした。
背丈ほどもあるシダの葉を掻き分けて、小銃をかまえた男が一人現れた。
ひょろ長い体型をしたその男は、僕と同じ格好――捕虜に支給された作業服を着ていた。