「103番でお待ちのお客様、お待たせ致しました」



地元の大学を卒業して、そのまま地元の信用金庫に入庫して5年目。



私、篠谷(しのや)心瑚(ここ)はそんなごくごく普通の27才、OLである。




ただ、高校時代の親友からも、亜紀ちゃんからも、みんなが口を揃えて言うには“死ぬほど男を見る目がナイ”らしい。




そんなことはない!!と真っ向から否定したいところだが、現に歴代の彼氏には浮気されたり、お金を無心されたり、むしろ私が浮気相手だったりしてことごとく破局してきた。




高校時代は、27才で結婚して~♡なんてバラ色の未来を想定していたはずなのに!!




ああ、人生ってムズカシイ…






「…さん?オネーさん?」



「っあ、も、申し訳ありません…!」





気づいたら、目の前のカウンターには若い男の人が立っていて、不思議そうな顔で私の顔を覗き込んでいた。




私が先ほどお呼びした103番のお客様だ!




私ったらいくらなんでもボーッとしすぎ!




「申し訳ありませんでした、どういったご用事…」



「別にいいけど。もしかしてオネーサン、俺に惚れちゃった?」