――…彼の隣で過ごしたのは

たった、一年と少しのこと。




「澪乃」




たとえるなら、深海のようなひとだった。

崇美に無限を秘めていて、けれどもミステリアスで。



その、低くて骨の髄まで痺れさせるような甘い声が好きだった。

その、大きくてどこか華のある背中を見つめるのが好きだった。


インディゴの色だけが、わたしたちを繋いでいた。




――…全部、全部、過ぎ去ったことだけど。




【インディゴ・ノーブル ~深海の果て~】