ここは数ある大陸の中でも、観光地として最も栄えているオーロラ島。家族連れから貴族まで多くの人が楽しめる施設がたくさん揃っている。

島の南側には海水浴が楽しめる美しいビーチやレストラン、家族連れが楽しめるレジャー施設がいくつも作られている。そして島の北側は、貴族向けの高級カジノや娼館、バーなどが立ち並んでいる。

そんな島の北側にある大きなホテルで、十六歳を迎えたばかりのサフィーは働いている。彼女の故郷はこの島ではない。オーロラ島から約千キロは離れたところにある。

何故、彼女が遠く離れた島で働いているのか。それには大きな理由があった。

「みんな、元気にしてるかな……」

休憩時間、サフィーはスーツのポケットから一枚の写真を取り出す。そこには、生まれたばかりの赤ちゃんを抱く母のリルと父のカイト、そして十二人のサフィーの弟妹が写っていた。

十八歳で結婚したカイトとリルはすぐに子どもに恵まれ、サフィーが生まれた。その一年後には長男のジャスパーが生まれ、その二年後には次女のルビーが生まれた。