でも、両親はそんなことで私たちを比べたりはしなかった
お母さんが怒ったのはあの時だけだ
「有紀!あなたなんてことしてくれたの!
暴走族だなんて危なっかしいに決まってるわ」
あの時のお母さんの顔はまだ忘れない
忘れられない
「ごめんなさい。でも、危ないところを助けてくれたの。だから、許して欲しいな」
私は暴走族という集団が嫌いだった
でも私と有紀ちゃんだけ知っている
その『白鷹楼』には、黒須理事長の息子さん、黒須 翔弥って子がいることに
「その暴走族にはね?杉沢高校の黒須理事長の息子さんがいるの。何かあればあの方が助けてくれる」
有紀ちゃんがそう言うと、お母さんは落ち着きを取り戻した



