しかし、ただ一人、信長だけはいつまでもマミの記憶が消えなかった。

いつも空を見上げて、マミを思い出していた。

お前の命は助かったのか。

お前の中でも俺の記憶は消えていくんだな。

そんな時、現代では、マミは怪我で入院していた。

マミの怪我は現代では命に関わる傷ではなかった。

ベッドで目が覚めて、マミは愕然とした。

ここは病院、しかも現代だよね。

どうして、私、またワープしちゃったの?

あっ、痛い。

そうだ、あの時、戦国時代で、相手の放った矢が突き刺さって……

私、もうダメかと思った。

その瞬間、ワープしちゃったんだ。

病室には病院の先生がやってきた。

「津久井マミさん、しばらく安静にしてくださいね、ナイフのようなもので
刺されたようですが、何か覚えていることはありますか」

「私、戦国時代で戦に巻き込まれて、相手の矢が突き刺さって、信長様は
どこですか、信長様は無事ですか」

「落ち着いてください、鎮静剤を用意して」