「マミ」

俺ではダメなのか。

信長はマミに惚れた、しかしこの時靡かない女は深追いしないのが常なのだが、

どうしても諦めることが出来なかった。

マミは与えられた部屋に駆け込んで襖を閉めた。

息が上がってドキドキが止まらない。

キスは初めてではないが、こんなにもドキドキした経験はない。

しかも信玄様ならともかく、織田信長のキスにこんなにも胸が高鳴るなんて、

マミは自分の気持ちがわからなかった。

落ち着け、落ち着け、でも胸の鼓動は収まる気配はなかった。

その時、襖の外から声が聞こえた。

「マミ、どうかしたのか」

声をかけてくれたのは秀吉だった。

「入るぞ」

マミは秀吉に顔を見られたくなくて、背中を向けた。

「お館様と何かあったのか」

「何もありません」

「そうか、それならいいが……」