「きゃっ」

「しっかり捕まっていろ、落ちるぞ」

馬は走り出した。

その頃安土城では信長までいなくなったと大騒ぎだった。

「全く、マミのことになると、お館様は単独行動をなさるので、困ったものだ」

そう嘆いているのは秀吉。

「しょうがないだろう、惚れた女がいなくなったんだから、誰だって探しに行くさ」

信長の肩を持つのは政宗。

「マミが迷惑な女だ、信じられないよ、一人で出て行くなんてバカじゃないか」

マミを罵倒するのは家康だ。

家臣の心配をよそに馬を安土城とは反対の方向に走らせる信長は、海に向かっていた。

「風をきって気持ちいいです」

「そうか、それはよかった」

信長様は怒っていない様子だった。

信長はマミが自分の腕の中で、喜んでいる様子に上機嫌だったのだ。

「マミ、お前は俺が嫌いか」

「えっ?」

「お前の気持ちがわからぬ」