「お館様、どちらに行かれるのですか」

信長にそう言葉をかけたのは秀吉だった。

「信玄の元にマミを迎えに行く」

「失礼ながら、マミは自分の意志で武田信玄の元に向かったのであれば、迎えに行く必要はありませぬ」

「このまま、信玄の女になっても構わぬと言うのか」

「マミの意志なら、迎えに行っても帰ってきません」

「力づくで連れ帰る」

信長は馬を走らせた。

「お館様、お待ちください」

しかし、秀吉の言葉は信長には届かなかった。

その頃、信玄の元で、甘い言葉を囁かれたマミは蕩けそうな表情をして、信玄の傍らに寄り添っていた。

「マミ、お前は美しい、お前を離したくない」

「信玄様」

「ずっと、私の側で使えるのだ、良いな」

「はい」

マミはぐっと腰を引き寄せられた。

「ああ、信玄様」