「大丈夫です、私の方こそすみませんでした」

「いつも信玄様は女性に甘いんですから」

信玄様?さっきもそう聞こえたけど、まさかと思っていた。

でもまた、言ったよね、はっきり言ったよね、信玄様って。

「武田信玄様ですか」

「そうだが、どこかでお会いしましたか」

「私、信玄様が大好きです、ずっとお会いしたかった、夢が叶って嬉しいです」

「それは光栄です、もしよかったら私の城に招待したい、これからご一緒にいかがですか」

マミは「はい」と即答した。

信玄は女性に優しい、甘い言葉を囁くのはお手のものだ。

容姿淡麗、甘いマスク、蕩けるような言葉、全ての女性は信玄を好きになってしまう。

お供をしているのは真田幸村、女は苦手で、優しく出来ない性分だ。

マミは信玄と幸村と共に城に向かった。

その頃、マミの姿が見えないことに城内では大騒ぎとなっていた。

「マミはどこに行ったのだ」

信長はオロオロと落ち着きのない様子を見せていた。

まさか信玄に会いに行ったのか。

信長は「出かける、馬を持て」と家臣に命じた。