激情を秘めた警察官はウブな令嬢を娶り溶かす~1年で婚約破棄するはずが、敏腕SPの溺愛が止まりません~

「改めて、ちゃんと申込みたい」

じわりと涙がうかぶ。わたしはそれが零れてしまわないようにぐっと堪えた。
彼の瞳は穏やかで、わたしのすべてを包んでくれるようだ。

慧さんはデッキに片膝をついた。
おとぎ話の王子様みたい。
それだけで号泣しそうだった。

「詩乃が好きだ。君を一生、俺に守らせて欲しい。幸せにするよ」

瞬きで零れた涙は、すぐに後方の海へと飛んでいった。
涙は日射しを受けてキラキラと光りを放つ。

「結婚しよう」

「ーーーーはい」

声は震えたけれど、はっきりと返事した。

くしゃくしゃになりそうな顔を、なんとか笑顔にする。
この人に会えてよかったな。
愛して貰えてよかった。

「キツネの嫁入りみたいだ」

涙を流しながら笑っていたら、揶揄われた。

「変な顔で恥ずかしい。嬉しいんだよ。嬉しすぎて泣くのなんか初めて」

止めたいのに、止まらない。

「かわいいよ」

「うそ」

「嘘じゃない。それに、ここに俺たちしかいないんだよ。そんなこと気にするな」

慧さんは指環を取り出すとわたしの手を取った。
光りを放つダイヤモンドが、ゆっくりと左手の薬指へと近づく。

「ずっと君が欲しかった。もう手放す気はないよ。覚悟はいい?」

不敵な笑みに、わたしは眉を下げる。

「お願いします」

きどったセリフは言えなかったけれど、心からそう思った。

もう、偽物だなんて思わなくていいんだ。
返事と共に、するりと指環が嵌まる。

「新婚旅行はふたりきりだからな」

「うん」

左手を空に伸ばすと、これからの未来を誓った証が朝露を含んだ花のようにきらきらと輝いていた。