慧さんは、理央の取り調べの様子を記録したものを見せてくれた。
「普段なら外部には見せないものだ。でも特別な許可をもらってきた」
慧さんはパソコンをセットすると、みんなに見せた。
「あの子の本質を知ってもらいたいんだ。
俺が心配しているのは、詩乃はもしかしたら、あの子が謝ってきたら赦してしまうかもしれないということだ。
辛くても、理央とは縁を切ってほしい。どんなに反省しているといわれても、もう関わってはいけないよ。また懐にいれてしまうと、命にかかわる場合もある」
真剣な慧さんに、わたしは頷く。
動画が始まると無機質な部屋が映された。机とパイプ椅子に座った理央。正面には警察官がちらっと映る。
部屋の上の方からの角度だった。
『詩乃は僕のものだよ。あんなくだらない雑誌記事のせいで、みんなが詩乃に注目するようになった。後から後から詩乃を好きだという人達が沸いてきて、ゆるせなかったんだ。
僕が先に見つけたんだよ』
いつもの理央の声ではなかった。低くて、陰鬱としている。
「注目されて嫌だったのに、どうしてまたネット上に広めたの?」
「最初に広めたのは僕じゃないよ。僕はそれを利用して写真を売ったのと、ストーカーが現れたように見せかけて詩乃を囲おうとしたことだ」
理央は鼻で笑った。
「お金が欲しかった?」
「お布施だよ。僕じゃなくて、詩乃に金を落として貰ってたの。すべては詩乃のために決まってるじゃないか」
「どうしてストーカーのふりを?」
取り調べをする警察官は、淡々と質問を繰り返した。
「怖がっている詩乃がかわいかったんだよね。誰も信じられなくなって、夜も眠れなくなった。僕にだけ不安を溢したり、僕の前でだけ泣いたりする。
頼れるのは僕だけ。めちゃくちゃ気分よかったよ。
一緒のベッドで寝てあげたりしてさ。この世が詩乃と僕だけになればどれほど幸せかって考えた。
大学卒業したら一緒に暮らして、ゆくゆくは閉じ込めちゃおうって思っていたのに、あの男が邪魔するからさぁ!」
だんだんと口調が荒くなって、しまいには机を蹴った。すぐに警察官に抑えられていた。
わたしはその怒鳴り声にビクッと肩を揺らす。
慧さんはすぐに動画を止める。
「最後まで見る……?」
わたしは涙をうかべてかぶりをふった。
「よく、わかったから……もう見なくていい……」
もう見たくないのに、机に抑えられる理央から目が離せない。
歪んだ表情。
最後に向けられた目を忘れられない。
「辛い思いをさせてすまない……」
慧さんは痛ましげな顔をした。
「ううん。教えてくれてありがとう」
どこまでが本当の彼女だったのだろう。ずっと自分を偽って、一緒にいたのかな。
気が合うと思ったのは、わたしに好かれるための演技だった?
楽しかった思い出だけは信じたいと思うのは、都合よすぎるかな。
理央を追い詰めたのは、鈍感だったわたしだ。
理央もひとり。
わたしもこれからひとりになる。
丁度いい罰だと思えた。
「普段なら外部には見せないものだ。でも特別な許可をもらってきた」
慧さんはパソコンをセットすると、みんなに見せた。
「あの子の本質を知ってもらいたいんだ。
俺が心配しているのは、詩乃はもしかしたら、あの子が謝ってきたら赦してしまうかもしれないということだ。
辛くても、理央とは縁を切ってほしい。どんなに反省しているといわれても、もう関わってはいけないよ。また懐にいれてしまうと、命にかかわる場合もある」
真剣な慧さんに、わたしは頷く。
動画が始まると無機質な部屋が映された。机とパイプ椅子に座った理央。正面には警察官がちらっと映る。
部屋の上の方からの角度だった。
『詩乃は僕のものだよ。あんなくだらない雑誌記事のせいで、みんなが詩乃に注目するようになった。後から後から詩乃を好きだという人達が沸いてきて、ゆるせなかったんだ。
僕が先に見つけたんだよ』
いつもの理央の声ではなかった。低くて、陰鬱としている。
「注目されて嫌だったのに、どうしてまたネット上に広めたの?」
「最初に広めたのは僕じゃないよ。僕はそれを利用して写真を売ったのと、ストーカーが現れたように見せかけて詩乃を囲おうとしたことだ」
理央は鼻で笑った。
「お金が欲しかった?」
「お布施だよ。僕じゃなくて、詩乃に金を落として貰ってたの。すべては詩乃のために決まってるじゃないか」
「どうしてストーカーのふりを?」
取り調べをする警察官は、淡々と質問を繰り返した。
「怖がっている詩乃がかわいかったんだよね。誰も信じられなくなって、夜も眠れなくなった。僕にだけ不安を溢したり、僕の前でだけ泣いたりする。
頼れるのは僕だけ。めちゃくちゃ気分よかったよ。
一緒のベッドで寝てあげたりしてさ。この世が詩乃と僕だけになればどれほど幸せかって考えた。
大学卒業したら一緒に暮らして、ゆくゆくは閉じ込めちゃおうって思っていたのに、あの男が邪魔するからさぁ!」
だんだんと口調が荒くなって、しまいには机を蹴った。すぐに警察官に抑えられていた。
わたしはその怒鳴り声にビクッと肩を揺らす。
慧さんはすぐに動画を止める。
「最後まで見る……?」
わたしは涙をうかべてかぶりをふった。
「よく、わかったから……もう見なくていい……」
もう見たくないのに、机に抑えられる理央から目が離せない。
歪んだ表情。
最後に向けられた目を忘れられない。
「辛い思いをさせてすまない……」
慧さんは痛ましげな顔をした。
「ううん。教えてくれてありがとう」
どこまでが本当の彼女だったのだろう。ずっと自分を偽って、一緒にいたのかな。
気が合うと思ったのは、わたしに好かれるための演技だった?
楽しかった思い出だけは信じたいと思うのは、都合よすぎるかな。
理央を追い詰めたのは、鈍感だったわたしだ。
理央もひとり。
わたしもこれからひとりになる。
丁度いい罰だと思えた。



