激情を秘めた警察官はウブな令嬢を娶り溶かす~1年で婚約破棄するはずが、敏腕SPの溺愛が止まりません~

「確信してきたのは最近だけど……最初から、かな。映画館の話、俺についての情報。ホテルの部屋まで筒抜けだった。情報を知る人間は限られている。流出先はどこかと考えたら、詩乃が警戒をせずに話してしまっている可能性が高い」

「ご、ごめんなさ……」

まさか、自ら危険に飛び込んでいただなんて。

「謝らなくていい。親友と聞いていた。彼女のことを信頼していたのだろう。俺も彼女を信じたかった」

頷くと同時に涙がこぼれた。
結局わたしは、親友だと思っていた子を失ってしまったのだ。

「決め手は、フロントに現れたのが女だったということかな。そこからご両親に事情を話して、理央が来たら警戒をするように伝えていたんだ。何かあったら俺にもすぐに連絡をもらうようにしてね。今日はふたりに時間稼ぎをしてもらって、俺は駆け付けた」

リビングでお茶をするのも珍しいと感じたが、それはわたしを励ますためだと思っていた。
お父さんが時計ばかりを気にしていたのにも、理由があったらしい。
あれは、慧さんはまだかと待っていたため落ち着かなかったのだろう。

「俺と婚約してから彼女は静かだっただろう。しばらくは様子をみていたんだと思うが、詩乃に会えなくなって限界が来ていた。俺がヘマをしたと思って、ここぞとばかりに動き始めたんだな」

「へま?」

きょとんとすると、慧さんは肩を竦めた。

「週刊誌の話さ」

「――――あ……」

わたしは口を押える。
わたしの慧さんへの信用を失わせる、よい機会だったということだ。

「……ええと、詩乃には本当に申し訳ないんだけれど、ふたりの会話を聞いていてね」

慧さんとお母さんは気まずそうにする。
反対にお父さんは、顔を赤らめて満足げにしていた。

「え? 部屋での会話を? ずっと?」

「盗聴じゃないよ。ドアの外で。だから一語一句、すべてが聞こえたわけではないけれど……」

理央とわたしは何をはなしたんだっけ?
たしか、慧さんの万年筆で安心するとか、信頼してるとかなんとか――――。

あれを聞かれていたってこと?
本人と両親に聞かれるだなんて、他のだれよりも羞恥プレイだ。
逃げ出したいほど恥ずかしい。

「信じらんない……」

「別れさせようとしたら、思いのほか信頼が厚かったから怒ったんじゃないかと思うんだ」

恥ずかしすぎて涙目になったわたしに、慧さんは苦笑した。

「詩乃の気持ちはうれしかったよ」

そんなのはフォローにはならない。
複雑な気持で押し黙った。