ーー今日は待ちに待った学園祭。

大学受験を控えた私達だけど、高校生活締めくくりの一大イベントとして、クラスのみんなは気合いが入っていた。

およそ三週間前から本格的に装飾などの準備を始めて、今日ようやく本番へ。



クラスの出し物は、ごくごく普通の焼きそば屋さん。
一括購入した黒いTシャツに、頭には黒タオル。
私達のクラスは黒で統一感を出した。

本校の学園祭は一日しか開催されないので、午前チームと午後チームの2チーム編成に。



クジで決められた午前チームの中には紬と蓮の姿が。
思わずホッと胸を撫で下ろす。



まずは、焼きそば作りの下準備から。
オープンまで間もなく、焦るあまり手際が悪くなっていた私に蓮は肩を突っついて呼び掛けた。



「おいっ、梓ってば。」

「なによー、いま忙しいんだってば。」



と、振り向いた瞬間。



カシャッ………



蓮はスマホを自分達の方へ向けて、私とのツーショット写真を撮った。



「えっ…、写真を撮るならひと声かけてよ。いきなり撮られたから変な顔してたかも。」

「ツーショットの写真が撮れたから、もう仕事に戻っていいよ。」


「もう…。相変わらず自分勝手だなぁ。」



蓮は写真を撮り終えて満足すると、スマホをポケットにしまってその場から離れた。
彼は毎年こんな感じで、三年間私とのツーショットの写真を撮り続けていた。



でも、まさかその数々の写真達が、机の鍵付きの2段目の引き出しにしまわれてるなんて…。