酷い…。
どうしてこんな陰湿な嫌がらせを。
無言で涙ぐむ梓を隣で心配する紬。
蓮はその横をサッと通って梓の隣につき、濡れているローファーをマジマジと眺めた。
「ひでー……。嫌がらせをした奴、相当頭がイッてんな。」
蓮は梓の靴を下駄箱から取り出して後ろを向いてしゃがみ込み、靴の中の水を片方づつすのこの下に流して振り払った。
「誰がやったか知らねーけど、低レベルだな。」
「いつも思ってたけど。…どうして梓に嫌がらせをするんだろう。」
蓮は炎が激しく燃えさかるように怒りを露わにし、紬はまるで自分の事のように心配している。
梓は心配の言葉が届くと、真っ白になっていた頭がようやく働き出した。
靴はもうビショビショで履けない…。
どうやって家まで帰ろう。