蓮から衝撃的かつ突拍子もない決意を告げられた日の翌日。
驀地(まっしぐら)な彼の行動が波乱を導く事に…。



キーン コーン カーン コーン



「…じゃあ、今日の授業はここまで。」



6時間目終了のチャイム音と共に高梨先生の数学の授業が終わった。



授業の時は勉強どころか先生しか目に映らず…。
うっとりした瞳でラブビームを送り、心地よい声を身体中で感じている。



実は数学が苦手。

だから、デートの時にマンツーマンで教えてもらっている。
先生は私の将来を想って一生懸命教えてくれるけど、それでも理解できないからどうしても好きになれない。

だけど、大学受験に数学は欠かせない。



「今日の日直は…えーっと…菊池だな。みんなのノートを集めて私の所に持って来なさい。」

「あっ…ハイ!」



先生が日直当番の私にこう言う時は、だいたい密会デートのメモを渡す時。
だから期待で胸が弾んだ。

だが、ノートを集めようと思って席を立った瞬間、蓮は後ろの席からピンとまっすぐに手を上げた。



「センセー。」

「ん…、(ひいらぎ)。どうした?」


「俺もノート運び手伝いまーす。」



すっかり心の準備が整っていた私達に予想外な展開が……。