またもや梓にフラれた日の翌日。
少しでも気分転換にと思い、昼休みに別棟にある大和のクラスへと向かった。



「大和〜。今から体育館でバスケをして遊ぼ~。」



俺は気分を一新させて、廊下でクラスの女子と仲睦まじく喋っている大和に呼び掛けた。



それは、普段通り。
何一つ特別な事ではない。

スポーツ万能な大和と昼休みにバスケで遊ぶ事なんてしょっちゅうだった。
だから、いつも通り遊んでくれるものだと思っていた。





ところが…。
大和は俺の顔を見た途端、笑顔を消失させて肩にそっと手を添えて首を横に振った。



「蓮…、バスケは(お前の)身体に悪いからやめよう。自分の教室に戻って梓とあやとりでもしてろよ。」



と言って、哀れむような目を向けてきた。



「……は?あやとりって…、お前の頭は無事かよ。それに、バスケが身体に悪いって何?俺ならピンピンしてるけど。」

「隠さなくても俺にはわかってる。…俺らに気を遣うな。身体に障るだろ。」


「何も隠してないし、気も遣ってないし。さっきからお前が言ってる事がイミフなんだけど。」

「じゃあな…。身体………、大事にしろよ。」

「おっ…、おい!大和!」



暗い影を被った大和はそうやって捨て台詞を言うと、背中から呼び止める俺を無視して教室へと入って行った。



なんだよ…。
梓にフラれて気力を失ったから、気分転換にひと遊びしようと思っていたのに…。



こうして俺は、梓に加え親友である大和にもあっさりとフラれてしまった。