梓「蓮、先日から様子がおかしかった。突然私とやりなおしたいって言って頭を下げたり、いきなりかわいいとか言い出したり…。体調はどうって聞いてみたら、『昨日よりは良くなった』って。それに、本人の口から『もう時間がないんだ』って言ってて……。」

大和「マジか…。お前をかわいいって言うなんて、相当病状が深刻だな。毎日あいつの傍にいたのに全く知らなかった。」



梓「何よその言い方。失礼ね!」

紬「蓮くんの体調が悪かったなんてちっとも気が付かなかった。元カノだからこそ病気に気付いたんだね。」



梓「多分ね。心配になって本人に何度か病状を確認したんだけど、曖昧な返事だったり、誤魔化したりして。きっと他の人には病気だという事を知られたくないんだなぁと思った。」

大和「お前の話を聞いてると、それはマジなやつだな。確かに蓮は肝心な事を俺に話さないから。」

紬「私達の想像以上に病状が深刻かもしれないね…。あんなに元気に見えるのに…ショック。」



梓「蓮がこの世から居なくなってしまうと思ったら耐えられなくなって、思わず『逝かないで』って伝えたら、『…まだ、逝ったらダメ?』って聞き返してきて。蓮はもう心の中で覚悟を決めているのかもしれない…。」

紬「梓………。」

大和「……そっ…かぁ。」



梓「でも、今一番苦しいのは私達じゃなくて本人。…人生の残り時間、みんなで力を合わせて気遣ったり優しく接してあげないとね。毎日笑顔で過ごせるように寄り添ってあげよう。」

大和「そうだな。みんなで身体を労わってやろう。蓮の為に各々が出来る限りの事をしてあげよう。」

紬「賛成。せめて私達だけでも力になってあげないとね。少しでも元気づけてあげたいよね。」



蓮の現状を聞いたばかりの紬と大和は、ショックを受けて肩を落としていた。