再び車を発車させて高速道路を下りた梓達は、隣県にあるショッピングモールへ場所を移した。

ブティックの前を通ると高梨は言った。



「給料が入ったから好きな服でも買ってあげるよ。」

「えっ…、いいよ。無駄遣いになっちゃう。」


「遠慮しないで。梓にはいつも可愛くいて欲しいから。」



年が離れている先生は私にめっきり甘い。
私を未だに子供扱いするし、恋人と言うよりたまに親目線に感じる時がある。

去年は担任だったから、余計にそう思うのかもしれない。



デートにかかる費用は全て先生持ち。
悪いなと思いつつも、お小遣い一本で頑張っている学生の私にとってはとても心強い。





梓と高梨の二人が会話を楽しみながら当てもなくブラブラ歩いていると…。



「…あれ、高梨先生?」



背後から若い女性が高梨を呼び止める声がした。

思わぬアクシデントに二人の足が止まる。