蓮の両親とは、よく一緒に外出していた。
おばさんは娘が欲しかったようで、私を本物の娘のように可愛がってくれた。
だから居心地が良かった。



「梓ちゃん、そろそろ花火大会に行くから、乱れている髪をセットしてあげるね。」

「わぁ、ありがとう!」



夕方、蓮の両親の部屋のドレッサーの椅子に座ると、おばさんは蓮が結んでくれたミサンガを外して髪を解いた。



「あら、これは蓮のミサンガね。」

「今朝、蓮が私の髪に結んでくれたんです。」


「あの子もやるわね。あら、梓ちゃんの髪…、半分だけカールしてるの?」

「あっ…、はい。」



髪を半分しか巻いていない状態で蓮に連れ去られたから、髪型は不格好に。
でも、蓮が慣れない手つきで手首に巻いていたミサンガを使って私の髪を後ろで一本結びにしてくれた。


髪を解くとわかる、当時の状況。

本当はもっと可愛い髪型にセットするつもりだった。
あの時、インターフォンさえ鳴らなければ。
私がどれだけ余裕のない朝を過ごして来た事か…。



「ハーフカールは最近のオシャレなのかしら…?おばさんはもう年だから、最近の子のオシャレには疎くて……。」

「…あはは。」



…わかってない人がここにいた。

でも、おばさんのこんな天然っぷりなところも可愛くて大好きだった。