「蓮………どうして。」
「お前…、正気なの?あいつ教師だろ。」
彼の瞳の奥はイケナイ関係を続ける私を疑っている。
梓は気まずさのあまり額に冷や汗を滲ませながらも、蓮の目線を断ち切るかのように顔を背けた。
今までは世間の目ばかり気にしていたけど、今は過去に愛した彼の視線さえも冷たく感じる。
「…蓮には関係ない。」
「あいつとの関係…バレたらお前…、学校はどーすんだよ。退学かもしれねぇよ。」
「私の事は放っておいて。見なかった事にしてよ。…お願いだから。」
「…はぁ?マジで言ってんの?」
梓は蓮の心配を他所にパシンと勢いよく手を払いのける。
「蓮の方が最悪じゃん。私と付き合ってても浮気を繰り返していたし。」
「そんなの若気の至りだろ。…それに、浮気の件は何度も謝っただろ。」
「はぁ?何が若気の至りよ。笑わせないで。もう半年前に別れたんだから、私には構わないで。」
最近、彼とは友達としてようやく話せるようになっていた。
心の傷が深かった分、気持ちの立て直しに時間が要したけど。
長く交際していた分、お互いの事はよく分かっている。
だから、別れた今でも心配してくれるのだろう。