扉が閉ざされてからおよそ1分後…。
会話が途切れた瞬間、蓮は言った。



「じゃー、そろそろやろうか。」

「…えっ…。ヤるって…。」



ベッドに腰をかけていた蓮は突然スッとその場に立ち上がった。
梓は良からぬ妄想に包まれると、額に冷や汗を滲ませる。



やっぱり……。
蓮はそのつもりで私を部屋に連れ込んだんだ。
しかも、わざわざ家まで迎えに来てまで。



我慢が限界を迎えていたから、昨日は切実な目を向けていたの?
今朝はやけに晴々しい顔をしていたのは、そーゆー意味が含まれていたんだ。


家に連れて来られた瞬間から何だかオカシイと思ってた。

私も蓮に言われるがまま家に上がり込むんじゃなかった…。



部屋の扉が閉ざされているこの不利的な空間で、いつでも部屋から飛び出せるようにと軽く腰を上げた。



「ヤダ!ヤらない!」

「だめだ、やらないと俺が困る。」


「はぁ?!バカじゃないの?ヤられると私が困る。私には先生という恋人がいるんだからぁ。」



眉を吊り上げて大声で怒鳴り散らした後、場はシーンと静まり返った。


蓮は不思議そうに顔を右に傾げていたが、怯む事なく一歩一歩私の方へと近寄って来たので、焦って胸の前に手をクロスさせて身を守った。