蓮は用具室に到着してから一切表情を伺わせなかったが、ゆっくりと振り返り梓と目を合わせた。




哀愁漂う蓮の瞳。
その瞳の奥に隠されてる感情。

今にも吸い込まれてしまいそうな雰囲気に目を離す事が出来なくなった。



「俺はこれから残りの90パーセントを頑張る。だからお前はその10パーセントの努力をしてくれないかな。」

「えっ、10パーセントの努力って…何言ってるのか…。」


「頼む…。」

「蓮…。分かってるでしょ。私は先生と…。」
「頼むから。」



反論する言葉を遮り深く頭を下げる蓮。
その本気度は浮気の謝罪をしていた時以上。



『私達、もうとっくに終わったんだよ…。』



先日まで厳しく浴びせていたその一言さえ口に出来ないほど、彼の根気強さが伝わってくる。