「もう気付いた?卒業まであとどれくらい残ってる?」
「…3…4…やべっ、もう5ヶ月もない!」
「その通り。じゃあ、これから天下の蓮様はどうしていくの?」
卒業まで残された時間は残り僅か。
俺がこうしてる間にも、高梨は結婚に向けて準備を進めてるかもしれない。
ウエディングドレスを着ている梓の隣にいるのは、俺じゃなくて高梨。
「無理…。」
神父の前で二人の永遠を誓う愛の言葉。
「無理…無理…。」
梓の左手薬指にはめられていく結婚指輪。
「無理無理無理無理……。」
ゆっくりと重ね合わせていく二人の唇。
「だああぁぁあっ………!」
「………。(なんだろ、俺には何故かこいつの頭ん中が丸見えだ)」
蓮はむしゃくしゃするあまり両手で頭を抱えて発狂した。
……俺、こんなところでのんびり遊んでる暇じゃない。
こうしてる間にも二人の愛が育まれている可能性が。
一刻でも早く手を打たなければ、あいつは二度と俺の元へ戻って来ない。
手遅れになる前にあいつを返してもらわないと。
蓮は結婚というキーワードに引っ掛かると、ほろ酔い気分が一気に覚めた。