「俺…、卒業を機にお前が高梨と結婚したらどうしようって思い始めてから、毎日が本当にシンドくて。恋をすると人って変わるんだな。」

「うん、そうかも。」


「あと、ケンカしている間に守ってやれなくてごめん。別れている間も嫌がらせが続いてて辛かっただろ。」

「ううん…、大丈夫。紬、大和、奏が蓮の代わりに守ってくれたよ。でも、やっぱり蓮が傍にいてくれないと、私の心がどっかに彷徨っちゃうみたい。」


「…もう二度とお前の心が彷徨わないように、これからも俺がしっかり守っていくから。」



と言って、蓮は梓を再び強く抱きしめた。


自分の元から離れて行かないように。
そして、もう二度と手放さないように……。



梓は力強さと温もりが伝わると、蓮の背中に腕を回して胸の中に顔をうずめた。
胸の中で蓮の香りを嗅いだ瞬間、窒息しそうなほどの幸福感に満ち溢れていた。