梓は蓮の言葉に温度差を感じると、焦る気持ちを抑えられなくなった。



「……それ、どーゆ意味?」

「…え?」


「私と一緒に過ごした三年間を一緒に締めくくりたいとか、今日で最後だと思うと寂しいよとか、私と付き合えて本当に幸せだったとか……。蓮の考えてる事がよくわかんないよ。今日はそれを言う為に、わざわざ会う約束をしたの?」

「お前、怒ってんの?」



蓮は感情をむき出しにしている梓に驚いた。



もう、限界……。
とてもじゃないけど耐えきれない。

蓮は私とお別れをする為に、ラストステージとして思い出深い教室を選んだの?



ダメ…。
私はここで終わりを迎えたい訳じゃなくて、再出発する為に蓮に会いに来たんだよ。

蓮に告白して付き合い始めたあの頃よりも、今は気持ちが何十倍にも膨れ上がっている。


一年の最初に教室で二人の始まりを迎えたからって、三年の最後に教室で二人の関係を終わりにしないで。


酷いよ。
残酷過ぎるよ……。







蓮を真っ直ぐ見つめる梓の瞳からは、大粒の涙がポロリとこぼれ落ちた。
窓辺から差し込む日差しが、梓の涙をキラキラと輝かせている。