梓は室内に足を踏み入れると、即座に声をかけた。



「蓮。」



三年前。
誰もいない教室で一人で静かに音楽を聞きながら、窓によりかかってたそがれていた彼。
黄金色の夕日を浴びてる姿があまりにも美しかったから、もっと傍に行きたいって思った。



手を伸ばした先に居てくれて。
バカみたいな告白を受け入れてくれて。
でも、その先には蓮と付き合うリスクも待ち受けていて。


泣いて、
泣いて、
そしてまた泣いて……。


繰り返される惨事に心も身体も散々傷付いたけど。

蓮の事が好きだから。
蓮と一緒にいる事が、私にとっての一番の幸せだから。


今日も彼の元へ会いに行く私がいる。





蓮、ようやく会えたね……。

つい数ヶ月前までは、毎日しつこいほど私に付きまとっていたのに、今日は会いたくてもなかなか会えなかったね。

もう二度と会えなくなったかと思っちゃったよ。



黄金色の日差しを浴びてる今は、三年前のあの時と同じ。
あの頃と一つ違うのは、今の方がずっと大人びている。