まさか…。
私との約束を忘れたとか。

違うよね。
自分から会おうって言ってきた約束をさすがに忘れる訳ないか。



梓は挫けそうになった心を立て直していたが、暫く待ち続けても蓮が教室に現れる様子はない。
壁時計の時が刻まれていくのを、ただ眺めているだけ。






ーーもう、かれこれ30分以上が経過。

梓は何もせぬまま教室で待つより、自分で探した方が早いかもしれないと思い、蓮と約束をしていた教室を出て校舎内を探し回る事に。



ひょっとして、告白スペースにいるのかな…。
イケメンコンテスト優勝者の蓮が卒業しちゃうから、在校生のファンに捕まってるのかもしれない。
時間的にも大和達はいないはずだし、行ってみようかな。



梓は蓮が告白スペースにいる事を信じて向かってみたが……。

蓮どころか生徒は誰一人いない。



まさか、告白の定番の体育館裏?
蓮は告白スペースの次に体育館裏にもよく呼び出されてたっけ。



梓は再び蓮を探し求めて体育館裏へ向かってみたが…。

一部の卒業生や在校生は残ってはいたが、やはり蓮の姿はない。



……あぁ、わかった。
ひょっとしたら理科室前かも。
あそこも人通りが少ないから、生徒達には隠れた人気スポットだし。
私自身も、蓮の病気が嘘だと判明した時に連れ出した事があった。



…と、思って理科室前を見に行ってみたが。

またもや蓮の姿はない。



梓は空振りが続くあまりに意気消沈してガクッと肩を落とした。