ジャージ事件の日の翌日。
二時間目に高梨先生の数学の授業があった。


返却されたばかりのノートを開くと、秘密のメモの付箋を発見。
誰にも気づかれないように付箋を剥がして、こっそりポケットにしまう。



今日は密会の日かな?
なぁんて胸を躍らせながら、先生の心地よい授業を聞いていた。


授業が終わると現実に戻り、蓮が飼い犬のように私の席へとやって来る。



「ごめん、今からトイレに行くから。」



そう言って席を立ち、トイレに駆け込んだ。
別に蓮を避けてる訳じゃなくて、単にメモの内容が気になってただけ。

個室に入り、胸を弾ませながら秘密のメモをポケットから取り出して開く。



《ごめん。午後から出張だから今日は会えない。夜、電話するね。》



なーんだ…。
会える事を期待していたのに、残念なお知らせの方か。



メモは再びポケットの中にしまい込み、トイレを出た。


ガックリ肩を落としながら廊下に出ると、イケメントリオの王子様系 (そう)が、久しぶりに声をかけてきた。