何故なら、手紙の中の地図に書き示されている場所が校内の告白スペースだとすぐに気付いたから。



「地図の場所には、紬が大事に思っている人が来る予定だから、時間になったら行っておいで。」

「大事な人って、もしかして…。」


「うん、私から最後のプレゼント。でも、私が手を貸すのはここまで。後は紬自身が頑張るんだよ。」

「梓…。」


「丸三年間、私を支えてくれてありがとう。紬には言葉にならないくらい感謝してる。紬が力を貸してくれた三年間に比べたら、全然物足りないプレゼントかもしれないけど……。」

「…ううん。私こそ感謝してるよ。最後にこんな素敵なプレゼントまで…。」


「私は今から100パーセント頑張って来るから、紬も自分の気持ちを100パーセント伝えてくるんだよ。」

「うん、頑張る!」


「卒業おめでとう…。今までもこれからもずっと大好きだよ。」

「私も大好きだよ。梓の気持ちを裏切らないように頑張ってくるから、梓もしっかり頑張って来てね。」


「うん、約束ね。」






ーー高校生活最後の日の今日。

また一人、大事な人に別れを告げた。


これが永遠の別れじゃないとわかっていても、なかなか気持ちが追いつかない。


最後は声が震えちゃったし、自分の気持ちを上手く伝えられなかったかもしれないけど、紬は頬に流れ落ちる涙を拭いてくれた。
でも、紬の頬も涙でびしょびしょだったから、次は私が拭いてあげた。





当たり前のような日常を失ってしまう今日は、人生の中で最も最悪な日。
だけど、後ろばかり振り返っていても仕方がないから、前を向いて頑張っていこう。