紬は大木の木陰の元で立ち止まり、耳に髪をかけた。
瞼を軽く伏せている瞳の奥は、何かを考えているかのように思えた。



「……あのね。私が三年間思っていた事を話してもいい?」

「えっ…、なぁに?」


「私は今まで散々お節介をしてきたけど…。梓の事が大好きだから最後のお節介を言ってもいいかな。」

「そんな、お節介だなんて…。私はいつも紬に感謝をしていたのに。……でも、言いたい事があるなら遠慮なく言ってね。」


「…ん、じゃあ遠慮なく言わせてもらうね。」

「うん。いいよ。」



紬がかしこまった様子で真っ直ぐに目を合わせてきた瞬間、胸がドキッとした。
紬はどちらかと言うと控えめな性格だけど、場合によりけりな時もある。