教室に戻ってからHRが始まると、声を震わせて泣く担任の最後の言葉をもらい泣きしながら聞いた。
担任は一年間このクラスに愛情を持って接していたので、旅立っていく卒業生との別れを惜しんでいる。


最後のHRが終わると、担任の誘導で中庭に移動して各自持参しているカメラで校舎をバックに集合写真を撮ってから自由解散した。



さっきまでクラス一同で写真撮影をしていた蓮だけど、あっと言う間に在校生に取り囲まれている。


制服のボタンを女子達に無理矢理引きちぎられて困っている姿は、何だか可笑しくて笑えた。
押し付けられるように受け取った数々の花束は、持ちきれないほどの数になっていて今にも左腕から落ちてしまいそう。


健在している人気っぷりを遠目から眺めているうちに、今でも遠い存在だと実感させられた。






その間、お世話になった先生方や、他のクラスの友達に挨拶したり写真を撮ったりしていたけど…。
さっきまですぐ傍に居たはずの蓮は、目を離した隙に中庭から姿を消していた。


焦り狂ったように右に左にと何度も辺りを見回しても、先程まで在校生に取り囲まれていたはずの彼の姿は見当たらない。